リスニングはカナダにいた時分、一番苦手なものだったと思います。カナダの語学学校のスピーキングとリスニングのクラスの先生はとても怖い先生で、私はいつもクラスの最後に残されて「Yukiはどうしてリスニングがそんなにできないの?」と言われていました。今でも覚えているのは、ある日のクラスでCBCというカナダのNHKのようなニュースを3つ連続で聞くのですが、何を言っているかあまりに分からなさすぎて、そもそも3つのニュースがあったことすら気づけなかったのです。3つの区切りがわからないので、ひと繋がりの長いニュースだと思ってた時には落胆しました。
今ではTOEICのリスニングは485/490。ほぼ満点のスコアを打ち出すことができるので、そのリスニング勉強方法を5つご紹介したいと思います。
カナダに初めてワーホリで渡航する際の英語力はほぼ0でした。渡航前に自分で出来ることを考えてみて、好きなスピーチを1つ、丸暗記してみようと決めました。それがスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学の祝辞だったのですが、15分のビデオを何百回も再生したのを覚えています。一言一句、間違うことなく完コピして言えるようにしたので、後に振り返ると抑揚やトーンの感覚を養うはじめの一歩として大変役立ったと思っています。勉強は中途半端な暗記だと実戦では使えないものです。150%完全に自分のものにして初めて実際の現場で生きてくるのだと実感したのがこの完コピをしたあとでした。みなさんにも、すきな俳優のスピーチや、好きな映画のシーンが一つや二つはきっとあるはずです。150%に出来る題材を見つけて実践で使えるほどの練習をしてみてください。
1のスティーブ・ジョブズのスピーチにも関連してきますが、私はスラスラ読めるようになった後に必ず自分の声をレコーディングしました。自分が発音できないものは聞こえて来ないはずなので、まずは自分側に起こっているかもしれない発音の誤解を解いてあげることが先決です。例えば、appleを「エァ〜ッポ」を発音せず、「アップル」と思い込んでいたとします。すると、「エァ〜ッポ」という音が聞こえても自分がその発音をしたことがないので、永遠にappleをappleを聞き取ることができないのです。または、エァ〜ッポと自分では言っているつもりでも、その発音が間違っていると実際に聞こえてきた時にはキャッチすることができないのです。リスニングとスピーキングは密接に関わりがあり、自分が言えれば聞こえて来てくれる事をきちんと念頭に置いて、レコーディングしてあげることがリスニングの良い勉強となります。
変な知識がつくと、文字を見たあと、思い込みの発音で読んでしまうものです。特に日本語のカタカナになっている英単語は注意が必要です。例えば、長年coffeeを「コーヒー」と読んでいる場合です。既に「コーヒー」と思い込んでいるので、仮に「カーフィ」という音が聞こえて来たとしても文字を見た瞬間に脳がまた「コーヒー」の音に変換してしまいます。そこで、文字を見ずに音のみを聞くことで、なんという単語でどう綴るかも忘れ、聞いたままの音を純粋に聞くことができるでしょう。その際にカタカナかローマ字のような英字で聞こえた音を表現しても構いません。そうすることによって、自分が作り上げている固定観念がリセットされるのです。
小学校5年生の頃、We are the worldという曲にハマって父のCDを奪って何度も聴きました。小学5年生の私はまだ英語が読めませんでしたが、We are the worldを歌いたかったので、聞こえたままの音をカタカナで表現したのを覚えています。父には笑われましたが、聴いたまま振られたカタカナの音は本物の音により近かったのです。今、同じ歌詞を聞くと知識と固定観念があるので、自分の癖に引っ張られるような発音をしてしまうことでしょう。その発音を放っておくと、2番でお話しした内容と同様、自分が言えないものは聞こえて来ないという問題に直面してしまうのです。
文字を見ずに音を真似る、英語話者の親の赤ちゃんがするのと同じプロセスがどんなに大事か、もう一度思い出したいものですね。
巷の書籍でも、YouTubeでもシャドーイングを推進していることが多くなってきたと最近は思います。4、5年前は「インプットとアウトプット」という言葉が英会話業界では流行ったように思いますが、最近は圧倒的に「シャドーイング」ブームなんだと感じます。どんな言葉が流行っても良いとは思っていますが、流行りの言葉に乗せられて闇雲に試してみるのはやめた方がいいと思います。ご自身の英語レベルはそれぞれですから、じゅっぱひとからげにシャドーイングをしてしまうのは好きではありません。
リスニング練習で大事なのはフィードバックです。要は、自分が思っている音と聞いた音が同じならばいいのです。
Tomorrow I'll go to school and study at the libraryという音を聞いたのに
Tomorrow I go school ........libraryというフィードバックが自分に返ってきたのであれば、そのフィードバックを正しくしてあげる作業をすればリスニングができるようになるのです。しかし間違ったシャドーイングで行うと、自分に返ってくるフィードバックは悪化し、聞こえるはずの音も自分の声と二重に聞こえて聞き落とすことになりかねないと私は考えます。
どうしてもシャドーイングのような練習がしたいという人は、オーディオから流れてきた音を一旦止め、その後に同じ文を言う練習にするといいでしょう。自分の声とオーディオが重なることもありませんし、たった今流れてきた音なので、自分のセンテンスがオーディオと違った、自分のセンテンスは何かが抜けていそうだという違和感は得られることでしょう。
最後は「話全体の流れを意識する」ことが大きな秘訣と考えています。TOEICのような一単語の聞き漏れが命取りになると思って、一語一句を拾おうとする努力をされるかもしれませんが、みなさんは通訳者になるのではありません。目の前で話している人が「どちら側の意見の持ち主なのか」「何に反対しているのか」「何を推奨しているのか」大まかな話の流れを掴む意識をすると、リスニングと呼ばれるものは出来るようになるのです。これは会話をする上ですぐに実践できることです。どんなに中級者、上級者になっても「この人はこんなことを言うはずがない」「この人はこっち側を推しているから、このような発言はあり得ない」など、ある程度の話の流れを推測して話を聴いていて、話全体を捉えているのです。みなさんはリスニングというとどうしても1行1行にこだわってしまうかと思いますが、今日からは是非、大きく話の流れを理解する習慣をつけてみると良いでしょう。
以上、「リスニングの勉強方法5選」をお届けしました。
カナダにいた時のCBCニュースの苦い思い出や、ホストマザーとその友達のカフェに一緒に連れて行ってもらった際にも、2時間ほど何も聞こえてこないという苦痛を味わった経験があります。本気で聞こうとすれば聞こえてくる、自分は本気で耳を傾けてないはずだと片時も目を離さずホストマザーとその友達を睨みつけて聴いてみましたが、あの日の会話は「何ひとつ」覚えていません。なぜなら何一つ聞こえる単語がなかったからです。
音が聞こえているのに、雑音のように処理されるあの苦痛を感じながら今日まで来ました。
みなさんもいつかは絶対に聞こえるようになることはここで断言してもいいのですが、正しい方法と正しいマインドセットでリスニングの学習と向き合ってもらいたいと思います。
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